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異分野融合カフェ:第7回訪問インタビュー

山本化学工業株式会社 代表取締役社長 山本 富造さん 発想と執念

No7

山本化学工業株式会社 代表取締役社長
山本 富造(やまもと とみぞう)さん
1959年生まれ

北京オリンピックでの高速水着騒動
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2008年に開催された北京オリンピックの競泳競技で、「高速水着」が話題に上ったことを記憶している人も多いだろう。当時、英スピード社の「レーザーレーサー」が圧倒的なシェアを占める中で、「素材だったらどこにも負けない」と、国内メーカーに独自開発した「バイオラバー」の提供をアピールし続けたのが大阪市の素材メーカー「山本化学工業」だ。結局、国内メーカーが山本化学工業のバイオラバーをメーン素材として採用することはなかったが、「どこにも負けない」という言葉は、翌年のローマ世界水泳で実証される。多くのスイマーが山本化学工業のラバー素材を用いた水着を選択し、さらに「北京オリンピックを上回る43個も世界新記録が出たんですよ。そのうち37個がうちの素材を使った水着です」と山本さんは振り返る。

驚異の摩擦抵抗係数
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バイオラバー素材を実際に触ってみた。まず、表面に水をたらして指でなでてみると、ヌメヌメとした滑る感触がある。実際、バイオラバー製水着を着用して水中に入ると表面に水の膜ができ、水との摩擦抵抗は限りなく0に近くなるそうだ。一方、裏側は撥水性で水が染み出すことはなく、触ってみるとさらさらしている。そのため、水着が水を含んで重くなるということはない。山本化学工業がとことんこだわったのは、水との摩擦抵抗係数だ。「みなさんの皮膚がだいたい摩擦抵抗係数2.0なんです。従来の一般的な水着がだいたい1.8、北京オリンピックのときに有名になったレーザーレーサーが1.38ぐらいなんです。で、このバイオラバーは0.021です」。この驚異の値が、山本化学工業の自信の根拠となっている。

超オーバースペック
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バイオラバーのような新素材は、どのようにして生み出されているのだろうか。そのカギはとんでもなく高い目標設定にあるようだ。「僕たちはよく、『超オーバースペック』って言うんですけど、使用される人が、あ、ほんまにこれは違うわ、というのを体で感じるものでないと売れないと思うんですよ。例えばスイマーに摩擦抵抗係数の値を見せて、こんなに改善されました、と言っても、実際に泳いで速いと感じなれば意味がない」と山本さん。「目標設定として、従来製品より10%、20%良いものを作りましょう、と言われる場合がありますが、10%とか20%という数値は目標ではなくて妥協点なんですよ。これまでの経験や知識に基づいて頭の中で計算して、到達できそうなラインを引いてしまう。余計なことを考えないでベストな目標はなにか、と言ったら100%なんですよ。摩擦抵抗係数でいうと、目標値は0です。このような高い目標を僕たちは『志』と言っています。高い志を持つと、非常に厳しい挑戦を強いられます。でも、厳しい挑戦を強いられるものが志であり、本来の目標であり、厳しい挑戦の中で初めて全く新しい知恵やアイデアが生まれてくるんです」。

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