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異分野融合カフェ:第6回訪問インタビュー

向井酒造株式会社 杜氏 長慶事 久仁子さん わたしの酒造り

No6

向井酒造株式会社 杜氏
長慶事 久仁子(ちょうけいじ くにこ)さん
1975年生まれ

「伊根満開」の誕生①
No6

研究室の大きな研究テーマは新酒開発だったそうだ。「竹田先生は本当に変わったお酒が好きだったんです。きちんとしたお酒は杜氏さんから教えてもらうもの。大学では、苦み、酸味、うまみ、渋み、辛みなど、バランスをうまく変化させて、米だけでいろんな味が出せるということを学ぶんだ、っていう考えで」。「伊根満開」は、赤米から赤い色を出せないか、というところからスタートした。「先生と新酒開発の研究をしている中で、後輩の卒業論文テーマを決める話になりました。その時、赤米で赤い酒ができないという話題になりました。酵母で赤い色を出すというのはすでにあったのですが、米から色を出すという試みはありませんでした。後輩が一生懸命、きれいな赤い色を出すために、どの材料をどの段階で入れたらいいか、という研究をやっていました。なかなか澄んだ赤色が出なくて、きれいな色がでてもすぐに変色してしまったり。私が卒業する時にはまだ出来ていませんでした」と回想する。

「伊根満開」の誕生②
No6

久仁子さんは大学を卒業して実家に戻った後も、後輩と連絡を取り合い、赤い酒の研究に関わっていた。ある日、「くにちゃん、出来たよ」と後輩から電話がかかってきた。送ってもらった酒は、色はきれいな澄んだ赤色をしていたが、とても飲めた味ではなかったそうだ。「先生に電話して、ちょっと飲めませんでしたって言ったら、『ばかやろー、大学での研究は色が出るかどうかだ。味はお前が調整しろ、なに勉強してきたんだー』っていつもの感じでどなられました」と、懐かしそうに話す。そこから、本格的な研究が始まる。酸がないときれいな赤色が出ないので、麹を増やして酸を出す。しかし、それだけでは飲めないので、4段掛けをして古代米の甘みを出す。試行錯誤を繰り返し、ようやく酸味と甘みが絶妙なバランスの「伊根満開」が誕生した。

10年後の夢
No6

10年後の夢について、久仁子さんに話を聞いた。「その頃には、いま外で働いて勉強している弟が帰ってきて、向井酒造を継いでくれていると思います。主人と弟がしっかりした酒を造るので、私は少し変わった酒を造り続けたいですね。竹田先生がせっかく教えてくれたことですし、お客さんが一口飲んで、あっと驚く顔を見るのが好きなので。また、その驚きをきっかけとして、日本酒を好きになってくれると嬉しいです。何年間に何回かはおもしろいお酒を提供できる蔵でありたいなと思います。あと、伊根町は観光地なので、お客さんがゆっくりできる場所、お酒をゆっくり試飲できる場所を作りたいです。そこで料理を出したりしたいですね。主人が料理が好きで、すでに何か構想があるみたいですよ。10年後、変わったお酒を造れる蔵、お客さんに来てもらって楽しんでもらえるような蔵にしたいですね」。

(取材日2012/9/13  聞き手/濱田・中村 文/中村)

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