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異分野融合カフェ:第5回訪問インタビュー

ビーサイズ株式会社 代表取締役八木 啓太さん家電メーカーの作り方

No5

ビーサイズ株式会社 代表取締役
八木 啓太(やぎ けいた)さん
1983年生まれ

“家電メーカー”の現場
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神奈川県小田原市にある「ビーサイズ(株)」を訪ねた。外観は一般的な2階建て住居に見えるが、ここが“家電メーカー”の本拠地であり、1階フロアで設計・試作・試験・組立・梱包などすべての作業が行われる。

玄関を入ると、デスクと書棚が配置されたリビングがあり、打ち合わせや設計、事務作業などに利用される。ダイニングと思われる部屋には大量の梱包用資材が保管されている。さらに奥には、作業場所のための部屋がある。この作業部屋は、開発フェーズによって、開発・試験・組立など、さまざまな用途に利用されるそうだ。

訪問当時は、LEDデスクライト「STROKE」の組み立て作業のために使われていて、棚には必要なパーツが整理されて収められていた。

苦労が集約された20部品
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「ビーサイズ」が最初にリリースした家電、LEDデスクライト「STROKE」は、発売直後から注文が相次ぎ、2011年の経済産業省「グッドデザイン賞」やドイツの「レッドドットデザインアワード2012」などを受賞した。

特徴は、「LEDからの光以外は可能な限り排除するために、究極のシンプルさ、最小構造にこだわりました」と八木さん。STROKEは20のパーツから構成されるが、そのひとつひとつに、八木さんの苦労のすべてが集約されている。デザインへの徹底したこだわり、品質の追及、可能な限りのコストダウンのプロセスを経た最終形だ。「最初の設計から、余計なものをどんどんそぎ落としていき、設計を熟成させていくと、よりシンプルな構造になり、結果として製造コストも下がります」と八木さん。

コストダウンのための設計や、製造方法の選択などは、メーカー勤務時代に多少は学んだが、ほとんどが手探りの状態だったそうだ。「たったひとりでやっているメーカー会社ですし、実績もない。なんとか粘り強く交渉して調達先を探しました。その過程で、たくさんのアドバイスをいただき、設計を修正したり、製造方法の再検討をしました。地道に1部品1部品調達して20部品が集まって、ようやく完成した、という感じですね。設計して作るのも大変ですけど、調達先などのネットワークを作ることにかなり時間がかかりました」。

“週末メーカー”から起業へ
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意外にも「起業したい」と思ったことは学生の頃からあまりなかったそうだ。ただ、高校生の頃から、アップル社の製品などに触れるたびに、「かっこいいモノを作りたい」という強い思いがあったという。「最初はアップル社に入りたいと思っていました。でも、アップル社が好きというよりは、デザインが好きで、かっこいい製品を自分で作りたい、というのが本当の気持ちだと気付いたんです」。

そのためには、「エレクトロニクスが分からなければ何もできない」と考え、大阪大学で6年間、電子工学を学ぶ。この頃、デザインは独学で取り組んでいた。就職活動では電子部門ではなく、機械設計をさせてくれる会社を探した。製品を作り上げるには、電子回路だけではなく、筐体などの外部の設計も不可欠だと感じていたからだ。

そして、富士フィルム(株)に入社し、医療機器を中心に機械・筐体設計に従事する。あるとき、電子部品の商社から、「このLEDは色が正しく見えるので、手術時には患部や血液がよく見えます」とコンパクトなLEDモジュールを紹介してもらう。会社としては採用しなかったが、八木さんは個人的に興味を持つ。「色が正しく見えることは、きっとデザイナーにとっても大切だ」とLEDデスクライトを作ることを思い立つ。「まずは、自分のために自分の欲しいデスクライトを作ろう」と、週末は設計や試作に没頭する、いわゆる“週末メーカー”となる。次第に、「本気になったら本当にできるかもしれない」と思い始め、2011年富士フィルムを退社し、「ビーサイズ」を起業する。

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