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異分野融合カフェ:第2回訪問インタビュー

ファブラボ・ジャパン 発起人 田中 浩也さん ソーシャルファブリケーション実践

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ファブラボ・ジャパン発起人/慶応義塾大学 准教授
田中 浩也(たなか ひろや)さん
1975年生まれ

築120年の「蔵」を利用したファブラボ
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JR鎌倉駅から歩いて5分も経たないうちに、あの「結の蔵」が目の前に現れた。この荘厳な建築物は、秋田県湯沢市にある築120年の酒蔵を6年前に移築してきたもので、ここがものづくりのためのオープンな実験工房「ファブラボ鎌倉」だ。1階には大きな作業机があり、慶応義塾大学田中研究室の学生が作業中だった。ちょうど翌日に卒業プロジェクト発表会を控え、徹夜で作業を続けている学生もいるそうだ。2階に上がって行くと、やや細長い作業スペースに3次元プリンタ、カッティングマシン、デジタルミシンなどの工作機械が配置され、周囲にはたくさんの試作品があふれている。ここでも学生2人がフル稼働で工作機械と格闘していた。

ファブラボ運営を体得するためMITへ
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ファブラボとは、ひとりひとりが自分たちの欲しいものを自分たちでつくる社会へ―というコンセプトをもとにマサチューセッツ工科大学(MIT)で生まれ、世界中で増殖を続けるオープンな実験工房だ。ファブラボ・ジャパン発起人であり、昨年5月に「ファブラボ鎌倉」をオープンさせた田中浩也さん(慶応義塾大学・准教授)に話を聞いた。

田中さんがファブラボのことを知ったきっかけは、ファブラボ提唱者であるニール・ガーシェンフェルド(MIT教授)が著した『ものづくり革命 パーソナル・ファブリケーションの夜明け』という一冊の本だ。その2年後の2009年、ファブラボがインドに設立されると聞いた田中さんは現地へ駆け付けた。世界中からファブラボを運営している人たちが集まり、彼らからとても大きな刺激を受けたそうだ。そして、「東アジア初のファブラボを日本につくりたい」という思いがますます強くなった。「ファブラボの雰囲気って、説明するのがすごく難しいんですよ、滞在してみないと分からない。また、そこを運営するひとは、人々の作りたいっていう要望に何でも応えられる町医者のようであったり、ものづくりを通じて人と人とを結びつけるバーのマスターのようであったりするんですよ」。2010年、ファブラボの運営方法を体で学ぶためにニール・ガーシェンフェルド教授を訪ね、「How To Make Almost Anything (ほぼなんでもつくる方法)」という人気講座を受ける(田中さんによる体験記はこちら)。この講座を修了した学生が、世界各地のファブラボを設立・運営する、という展開になっている。

日本でのファブラボ立ち上げ
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帰国した田中さんは、日本でファブラボを立ち上げるために走り回った。しかし、ファブラボの趣旨を説明してもなかなか理解してもらえず、助成もあまり得られなかったそうだ。そこで、自らの貯金を切り崩し、3次元プリンタやカッティングマシンなどの必要な工作機械をそろえた。昨年5月、ついにオープン。「正直、失敗の連続でした。例えば、毎週土曜日にファブラボを市民に開放したんですよ。そしたら、遠方からもたくさん人が来るようになり、ファブラボの前には順番を待つ人であふれかえってしまいました。失敗をしてはルールを変更する、ということを繰り返してきましたね。1年かけてようやくビジネスモデルができつつある、という感じです」。いまでは、一般市民や職人、デザイナー、学生、研究者などがものを作りながら交流できる地域密着型コミュニティーバーのような形になりつつある。「地域の人たちは、自分のものを自分で作りたいという『パーソナル・ファブリケーション』を実践し、例えばオリジナルな表札や名刺などを作っています。一方で、研究者やデザイナーたちは、よりクリエイティブで専門的なものを作ろうしています。互いが刺激を与え、うまくバランスするのが理想的です」。現在、一般の工作機械利用に関しては原則無料だが、制作物に関する情報をオープンにすることが利用条件のひとつとなっている。「本当のイノベーションは市民のくらしの中から生まれると思っています。生活者主体のイノベーションが、本当のアイデアにつながっていくと思います」。

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