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異分野融合カフェ:第14回訪問インタビュー

林撚糸 撚りの妙技!

No14

林撚糸株式会社 代表取締役
林 寛(はやし ひろむ)さん
1957年生まれ

耐寒手袋をつけてヒマラヤ山脈へ
No14
手袋について説明する林さん

耐熱手袋が売り出されると、雑誌などを通してすぐに評判が広がった。「溶接工だけでなく、アウトドアや研究室の実験室、七宝焼きの人、ピザ焼く人、ハーレーに乗る人、せんべいを焼く人とか、いろんな人から問い合わせがありました。腕カバーが欲しい、目だし帽が欲しい、耐熱パーカーが欲しいとか」。そして、断熱効果があるということなら、当然、耐寒性もあるいうことで、信州大学山岳部から開発の依頼が来たそうだ。試作をしては、槍ヶ岳で何回もテストをしてもらった。そして、信州大学山岳部のネパール・ヒマラヤ遠征隊によって最終テストが行われた。「隊員26名とバックアップが50名ほどです。5000メートルまでは手袋だけで行けたそうです。7000メートルまでになると風があるため、オーバー手袋をはめて、3か月間で走破することに成功しました」と当時の写真を見せながら話してくれた。

和紙の糸「ワシテックス」の開発
No14
和紙とウールで編まれたヴィヴィアン・ウエストウッド用の生地

最近、林撚糸が開発した製品は、和紙の糸「ワシテックス」だ。林さんから渡されたブランケットを手にしてみると驚くほど軽い。「これ、紙なんですよ。紙のブランケット」と言われても、触り心地はとても紙とは思えない。「ぜんぜん違うでしょ。紙の硬いイメージじゃないでしょ」と林さん。さらに、「こっちは和紙とウールで編んだ生地。ヴィヴィアン・ウエストウッドで使われています」。紙は伸度がないため、織物にもニットにもなりにくい。しかし、林さんは幅1、2mmのリボンを撚って伸度と強度を与える方法を開発した。「紙はね、綿に比べて13倍水を吸う。比重は3分の1。強度も紙のほうが上です。紙は何百年たっても残ってますけど、糸はぼろぼろ。それに循環型の材料なので、エコですよね。しかも工場内で、製紙は4工程、紡績が13工程。これも完全にエコです。もし日本の間伐材が生地素材として使えるようになって、有名ブランドのジャケットとかになるとしたら、子供たちは親が持っている山を継ぎますよ。さらにその売り上げの何パーセントかを還元したら、きっと山は育ちます。もうひとつは、唯一日本で調達できる繊維素材なんです。綿も石油も毛も全部海外です」と林さんは話す。

日本の繊維産業の未来は明るい!
No14
林社長と雄太さん

働き始めて3年になるという息子の雄太さんは、「撚糸加工は中間的な立場にあるので、製品になるまであまりイメージがわかず、ものすごい数の試行錯誤をしました」と当初を振り返る。「林撚糸は一般の大手と違って、産業資材とアパレルが偏らずにうまくミックスしていて、両方とも結構ハイブランドのところを見て商売させてもらっています。産業資材の知恵をアパレルで表現したり、アパレルでやっていたストレッチ繊維を産業資材に生かしたりできます」というのが林撚糸の強みだ。

社長の林さんは、撚糸業にとって必要なこととして、「原糸の性質、性能を十分に知っていないとムリです。それと発想、感性ですね。糸を見ているだけでは感性は育たないです。やっぱり百貨店に行ってアパレルを見たり、住宅展示場に行って内装のインテリアを見たり。新車が発表されれば展示会に行ってシートを見たり、触ったり。いろんなものを吸収して初めて、感性が身につくと思います」と教えてくれた。「今、日本で残っているの撚糸業はハイテクの塊ばっかり、もしくは伝統工芸の塊ばっかり。また、日本は撚糸もすごいけど、もちろん紡績、合成繊維、織りもすごい。そして機械。国内の機械メーカーは超ハイテクです。日本には繊維に関するすべてがそろっている。これからの日本の繊維産業はものすごく明るいと思いますよ」と最後に話してくれた。

(取材日2013/11/12 聞き手/寺川・中村 文/中村)

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