大阪大学サイエンス・テクノロジー・アントレプレナーシップ・ラボラトリー

  • 組織
  • アクセス
  • リンク
  • お問い合わせ
  • パンフレット
  • English
ホーム > イベント > 異分野融合カフェ > 異分野融合カフェ:第14回訪問インタビュー1

異分野融合カフェ:第14回訪問インタビュー

林撚糸 撚りの妙技!

No14

林撚糸株式会社 代表取締役
林 寛(はやし ひろむ)さん
1957年生まれ

林撚糸(はやしねんし)を訪ねる
No14
撚糸について説明する林さん

1200度を超える火の粉が飛んで来ても大丈夫な手袋。そんな超耐熱性を、撚(よ)りの技術によって実現している会社があると聞いて、和歌山県橋本市の林撚糸(ねんし)株式会社を訪ねた。1932年創業で、代表取締役社長の林寛さんは3代目。従業員7人の小さな会社だが、ここからすごい製品が次々と生まれている。「これはN700系のぞみのシートの生地ですね。そして、これが衆議院本会議場のシートです。これらの撚糸を担当しました」と林さんはサンプル生地を見せてくれた。衆議院本会議場シートのサンプルを手に取り、「これ、すごいんですよ。角度によって、ほら、色が変わるんですよ。だから、議長席からぐるっと見渡すと、全部シートの色が違って見えるんです」と話す。さらには、ヴィヴィアン・ウエストウッドなど有名ブランドといったアパレル関係から、カーボンやフッ素繊維を利用した超ハイテク機器まで、携わっている分野は実に幅広い。

撚糸の技術とは
No14
衆議院本会議場のシート

そもそも撚糸とはどんな技術なのだろうか。撚糸とは「紡績」と「織り編み」の中間に位置する。糸を撚ることで強度を増す、という役割はよく知られているが、それ以上に奥深い世界が広がっているそうだ。「AとBの糸を組み合わせてツイストを加えると、D、G、そしてHにもZにも変化させることができるんです。例えば、収縮性の違う糸同士を撚り合わせて熱を与えると、シープみたいなふんわりとした肌触りが生まれます。水に溶ける糸と普通の糸を合わせて撚った後、一方を溶かすと穴があいて、目の大きな生地が出来ます。色の効果もあります。黒い糸に透明の糸を薄く巻きつけると、いぶし銀になるんです。また、黒1色の糸で生地を作ると、糸の太さが均一でなければ生地に筋ができてムラになってしまいます。そういう時は、濃淡の違う3種類ぐらいの黒い糸を混ぜて撚るんです。すると、均一なきれいな生地になります。目の錯覚を狙うんです」と林さん。

耐熱手袋「アツボウグ」
No14
耐熱・耐寒手袋「アツボウグ」

林さんはこのような撚糸の技術を存分に生かして、これまでにない耐熱性の手袋「アツボウグ」を開発した。実際に着けてみると、やわらかくて指を不自由なく動かすことができる。一般的なゴワゴワとした硬い耐熱手袋とは明らかに違う。「溶接をされている方は普通、革手袋を着けるんですけど、良く手が荒れて発疹ができるんですね。それで、革手袋の代わりに、軍手を二、三重に着けて仕事をするんですが、やっぱり溶接の火の粉が入るんです。それで、溶接の火の粉が入らない軍手を作ってほしい、というのが一番最初のきっかけです」と話す。

林さんが開発するにあたりこだわったのは、柔らかくて指がきちんと使えて、手に優しく、何回も洗えることだ。「耐熱性と言えばアラミド繊維が頭に浮かびますが、熱伝導率はあるんです。だから、それだけでは中の手を守らない。それで、熱伝導率の低い空気を利用できないかと考えました。裏をめくってルーペで見てください。無数のループが出てるんですね。つまり、表はアラミド繊維で耐熱性があり、裏には綿やウールを使ってループの糸が出るようにしました。ループがいっぱいあると、空気を含むので、断熱効果が出てくる。しかもそれが密集してるので、伸び縮みしても目が開かずに火の粉が入らない、また硬くならない。これが撚糸の技術です。織りで同じことをしようとすると硬くなるだけで使えないですね。実は表にもちょっとループが出るようにしているんです。滑り止めの役割です。アラミド繊維はツルツルと滑るので」とまさに技術の結集だ。

12    次のページへ>>

このページの先頭へ

Copyright© e-Square,Osaka Univ.