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異分野融合カフェ:第10回訪問インタビュー

株式会社坂本乙造商店 代表取締役社長 坂本 朝夫さん 進化する樹液・漆

No10

株式会社坂本乙造商店 代表取締役社長
坂本 朝夫(さかもと あさお)さん
1950年生まれ

「漆を教えてくれ」―海外から次々に来るオファー

「漆を別の世界に応用したい」という思いで、早速いろんな会社に売り込みに行った。しかし、1970年代は高度成長期で、どこの会社もムダ・ムリ・ムラをとことんまで省いていた時代であったため、国内ではすべて門前払いだったそうだ。そんな時、ヨーロッパのいろいろな国々から、「漆を教えてくれ」と次々にオファーがやってくる。最初はパーカー、そしてクリストフル、エルメス。坂本さんは疑問に思い、理由を尋ねた。「どうして漆のことが知りたいのか聞いたんです。そしたら、日本に全部仕事を取られたからって言うんです。今、日本が中国やベトナムに仕事を取られているように。それで、価格で勝負するのではなく、もっとブランド力をあげるために、より高付加価値なものを作りたいんだ、その中のアイデアストックとして漆のことが知りたいんだ、と教えてくれました」。

ヨーロッパから学んだ伝統産業の生き残り方
No10

坂本さんはヨーロッパの各会社に漆を教える一方で、ヨーロッパにおける伝統産業の生き残り方を教えてもらったそうだ。「日本の伝統産業って、わき目もふらずにその道一筋、が基本的なあり方なんですね。それはそれで素晴らしいと思うのですが、ヨーロッパ諸国は、自分の伝統を守るためには、自分の稼ぐ道を見つける、というのが基本スタンスなんですね。例えば、ワイングラスで有名なリーデルは、レーダー用のブラウン管を開発していました。衛生陶器で有名なビレロイ・アンド・ボッホの社長は、衛生陶器は本業じゃないんだって言うんです。本業は陶器の人形や食器だと言うんですね。自分が残したいアイデンティティとしての伝統と、それを残すため、稼ぐための仕事を、うまくバランスをとることがとても大切だということに気づきました」。

ますます広がる漆の可能性

パーカーのデスクセットを手掛けて以来、国内外においてさまざまな工業製品に漆を応用してきた。その過程で、漆の吹き付け方法など独自の技術を開発し、さらにその技術が漆とは異なる分野へと広がっているそうだ。「伝統文化ってすごく良いものだと思います。ただ、『良いもの』と『自分が所有して使いたいもの』には少しずれがあると思います。漆製品も、やっぱり使ってもらってなんぼですよね。だから、今後も使えるところにどんどん登場させていきたいです」と坂本さん。こんなところに漆? という意外だけどなるほど! という製品が今後もどんどん生まれてくることを期待したい。

(2013/5/27「THE世界一展:すごいステージ」の講演より  文/中村)

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